< BISHKEK < HOME

キルギス音楽の未来 〜 Elles/Muras 〜

縁あって、キルギスに暮らすことになったわたし。せっかくだから、日本ではなかなか聴く機会がないであろう、今キルギスで流行りのポップスを紹介できたらな、と思って、この「ビシケク音楽編」はじめました。
が!ここキルギス、市場が小さいから独自のポップスが育たないのか、いいプロデューサーとかコンポーザーがいないのか、キルギス語が音楽にノリにくいのか、なんか気持ち的にまだふっきれてないのか、機材がないのか、なんだかよくわかんないけど、とにかくとっっっても不作なのでした。

たとえば、音楽も打ち込み使うのはいいけど、複雑なリズムになるとビミョーにずれちゃったりするのがキモチワルイし、歌いっぷりはどーしても田舎のスナックでカラオケやってるようにしか聞こえない。
歌手たるもの、ルックスっていうか、着るものにもよくよく注意しなくちゃいけないと思うんだが・・・
もちろん、曲自体、アカ抜けないのは言うまでもない。なんでこんなにムード歌謡なのーっ。
「キルギスポップス(エストラーダ)ヒット集」みたいなカセット聴いてみても、音質が悪いのもさることながら、こらこらこら、まず歌がヘタだぞ、みんなーっ!・・・うそみたい。そのへんのおばさんのほうがよっぽど歌うまい。もしもこれをキルギスのひとびとが好んで聴いてるとしたら、もうキルギスのポップスに前途はない・・・とわたしはマジでくじけそうになった。

それでもやっぱりあきらめきれず、「どっがにキルギスポップスねーがー」とむなしく彷徨していたわたし。
それはこないだ友人の車に乗ってたときのこと。ある曲がかかって、友人がボリュームをぐっとあげた。
あれ、キルギス語?・・・なんかちゃんとしてるじゃんっ!なにこの曲、なにっ?
たずねてみると、「Elles」(エレス)っていうグループの「Kaydasın」(=「あなたはどこに」)だという。
これよーっ、わたしがずっとずーっと探し求めてた感じ〜ぃ!

エレスは、以前キルギスポップスを積極的に探してた頃、あるカセット屋に「これどう?」って勧められたけど、キルギス語の曲は1曲だけというので、「ふんっ」と一蹴してたもの。あぁん、まさにその1曲がよかったのね〜。

男子4人組のエレスは、キルギス人ふたりにロシア人ふたりという構成で、ボーカルとってるのはキルギス人のヌルランとロシア人のセルゲイ。アルバムのほうは、「Kaydasin」以外はロシア語の曲でまったくキルギス色ないんだけれど、なにはともあれ「ちゃんとしてる」のでワタクシご満悦なのであります♪

この曲「Kaydasın」を気に入ってるひとって多い。
みんなこーゆーのを求めてるのよ〜。
歌詞(拙訳付き)はこちら。
(キルギス語表記にはトルコ語アルファベットつかってます)

で、思い出した。
キルギスはフォークロアっぽいのは歌唱力もばっちりで、文句なしによい。ほのぼのしててじんわりくる、一度は聴いてみたらいいと思う音楽。このへん紹介したいとこだけど、ちゃんとした音源がなかなか手に入らないのがネックなのだ。唯一あるのが、「Muras」(サイトには試聴ファイルもあり)っていう民族音楽グループのCD「The Air of Mountains」。

CDMuras members

The Times of Central Asia の紹介記事によると、このCDはキルギス初の民族音楽収録CDになる。残念なことに、キルギス国営テレビ・ラジオも資金難で、これまでのアーカイブをきちんと保存できていないため、キルギス人でさえ自分たちの民族音楽を振り返って聴く機会がなかった、というのが実情らしい。
だからこのCDのリリースはとても意義のあることだ、と記事はいうが、それにしちゃあ誰にでも買えるようなシロモノじゃない。一般の音楽CDが約3$というこの国で、約20$というお値段!ツーリスト向けのおみやげ屋で売ってるとこしか見たことない。カセットテープ化されないとキルギス一般庶民にはムリだよぉ。
とか言ってるわたしだって、「た、高すぎるっ!」て、まだ購入に踏み切れていない。
「Muras」の目指すところは、キルギス民族音楽を保存、復元し、ポピュラーにすることだ、と記事は締めくくる。

それじゃ、「Kaydasın」みたいな曲は、とっかかりとしてなかなかいいんじゃない?
一時トルコでも民謡をポップスやロックにアレンジするのが流行って、そういう曲がすごくウケたことがあった。やっぱりこれには賛否両論あったりするんだけれど、わたしは賛成、大いにけっこうなことだと思う。
あるインタビュー記事で、エレスは、今後キルギス語と英語のアルバムを制作したい、という抱負を語っていた。
いいアルバム作るにはまずスポンサー探しから。そのへんまた厳しいかもしれないけど、がんばってほしい。
キルギス・ポップスの将来にもちょっと光が見えた感じ、かな。

[12/8/2002 Lyrics/Link added]
[19/03/2001]